月に繭 地には果実(∀ガンダム):福井晴敏

終戦のロ−レライ」は高くて買えない(上下巻で3500円!)ので福井晴敏欠乏症を埋めるべく古本屋を探し回ってようやく入手、アニメのほうはなんとなく一通り見ただけなので、昼は職場で仕事の合間に本書を読み、夜帰宅してからアニメを見るという生活をしてみた、前半は富野カントクのプロットに忠実に進んでいくけれど後半の「福井解釈」は壮絶、この辺りはやはりこの人は私のような30代後半のオタクと同じ物を見、考えてきたんではないかと思わせる展開でラストの締めかたもわりとすんなり納得がいく。これがアニメ∀ガンダム安彦良和をして「傑作」と言わしめたのもうなずけるほどの出来(みんな良いほとんど生き残る)なのだけど「理解できるけど納得できない」ラストの締めの切なさは2日ほどのた打ち回れるほど。

川の深さは-Twelve Y.O.:福井晴敏

一旦火が点いてしまった「読書欲」はおさえきれず、亡国のイージスを読了後すぐ購入、すぐ読了。ほとんど亡国のイージスと似たような展開にちょっと戸惑うものの、やはり読み物として優れているのかどんどん読み進められる、この読みやすさは作者の中にきちんと絵コンテが出来上がってるんだろうなぁ、まるでカット割りされたような小説で読み手のアタマにカメラワークをしっかり植え付けてしまうので読みやすいのだると独り合点。

亡国のイージス:福井晴敏

ここ2ヶ月の読書ブームのきっかけになった作品、題名と作者の名前はおぼろげに聞いてはいたけれど特に読もうとは思ってなかったのだけれど、樋口眞嗣監督がこれを原作にして映画撮ろうとしたら長すぎるのでもっと短いのを、とされたらもっと長い「終戦のローレライ」が出来た、という逸話を聞いて興味が湧いた次第。
 で読んでみたらもう面白い面白い、冒頭の主人公たちの人となりの掘り下げはもとより、戦闘シーンでのくどいぐらいの状況説明・武器解説や構造解説が異常にわかりやすい、今まで自分が好きで蓄えてきた軍事知識が「初めて役に立った瞬間」ではないかと思えるぐらいにわかりやすい、多分これは作者のテクニックなのだろうと後で気づくのだけれど。

海の暴れん坊/オークショット<1>ツーロンの砲声:ロバート・チャロナー

なんとなくネットを1ヶ月ほど失っていたので映画日記はやめ、その間に読んだ本のことなど
 つい昨日読みました、ホーンブロワー以降大量に出版されている「海洋冒険モノ」の一遍、なにに惹かれたかってやはり「海の暴れん坊」である、「海の男/ホーンブロワー」「海の勇士/ボライソー」「海の風雲児FOX」と18〜9世紀にはいろんな肩書きで戦争してたもんだなぁと感心、いや寒心。
 訳者あとがきにもあるんだけど「いかにホーンブロワーと変えるか」に腐心していて、却って読み手が気を使ってしまう錯覚に陥る、あまたのナポレオン戦争モノの中で個性を出したかったのだろうけど、読者の求めるのは「面白いやつ一丁」であって「ホーンブロワーとちがうもの」ではないんだよなぁ。
 あ、でもちょっと面白かったよ、おねぇちゃんのおっぱいがデカイ描写とか。